精神保健福祉法において規定された入院形態およびそれぞれの入院中の患者の処遇などについて

医学一般
*本サイトには広告が含まれます

医学一般②

【ポイント】

  • 精神保健福祉法による入院形態の特徴を明確に説明する
  • 入院形態ごとの処遇に関して明確に違いを説明する

レポート文例

精神保健福祉法に規定された主な入院形態と、その処遇に関して以下要約する。

(1)任意入院・精神障害者本人の意志を尊重する形の、人権尊重という観点に立ったものであり、入院中の権利条項などの説明義務や同意書を得なければならないこと。退院申し出があれば応じなければならないこと。指定医による診察で継続の必要がある時は書面告知の上、72時間の退院制限を行うことが出来るなどを規定している。

(2)措置入院・精神に障がいがあり、医療及び保護のために入院させなければ、自傷他害の恐れがあると認められた場合というのが判断基準になる。その場合は、都道府県知事(指定都市の市長)の権限により強制的に入院させることが出来る。ただしその強制力は、患者を入院させるという、行政上の必要性を満足させるための、必要最小限度にとどめられるべきであり、二人以上の指定医の診断結果が、措置入院が必要という点で一致しなければならない。退院要件として、症状消退届(自傷他害の恐れが消失)を都道府県知事に提出する。

(3)緊急措置入院・通常の措置入院の手続きである二人以上の指定医の診察及びそれに都道府県職員が立ち会うことが必要となる。また、診察を家族に通知し立ち会わせるなどの手続きが急を要しており出来ない場合に指定は一名で足りるものとする制度である。ただし、通常の措置症状よりも自傷他害の恐れの程度が著しいものとの判断が認められなければならない。また、患者の人権に大幅な制限を加える制度であることから、72時間以内に措置入院の規定に基づく手続きを完了すべきとされている。

人生ってそう、うまくはいかないよね

(4)医療保護入院・本人に病識がないなど、入院の必要性について本人が適切な判断をすることが出来ない状態にあるとき、4週間に限って家族の同意と指定医の診察を要件として、本人の同意を得ることなくなく精神病院に入院させる制度である。その際の家族は、配偶者、親権を行うもの、扶養義務者及び後見人又は保佐人に限られる。その家族等が無い場合には、その者の居住地もしくは現在地を管轄する市町村長の同意を求めることで、その者を入院させることが出来るものである。なお、患者の人権擁護の観点から、医療保護入院および措置入院については、定期に指定医の診察結果に基づいて報告を行うことが義務付けられており、精神医療審査会における審査などを通じて、入院の必要性について公正かつ専門的なチェック機能が働く仕組みがとられている。

(5)応急入院・医療及び保護の依頼があった者に対し、急速を要し、保護者や扶養義務者の同意を得ることが出来ない場合には、本人の同意がなくとも指定医の診察により、72時間に限り、都道府県知事が指定する、応急入院指定病院に入院させることが出来る制度である。なお、自傷他害の恐れがある場合には措置入院、また緊急措置入院により対応することが原則であり、家族の同意が得られる場合には、医療保護入院により対処することが基本となる。上記に関しては全て、入院期間中の人権確保を図ることから、患者の病状又は状態像、入院年月日、時刻などを届け出ることで制度の適正な運用を図り、都道府県知事(指定都市の市長)が、必要な指導を行うことが出来るよう、病院管理者に届け出義務を課している。

【引用・参考文献】