精神保健の歴史と現状及びその対策について

精神保健学
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精神保健学

【ポイント】

  • 精神保健の歴史の流れを理解する
  • 総論として読み手に分かりやすく記述する
  • 課題と対策を検討出来ている

レポート文例

古代において精神疾患は悪霊の仕業と考えられた時代がある。中世では精神障害者を魔女として迫害した歴史がある。唯一古代ギリシャ、ローマの哲学者たちだけは精神疾患を病気としてとらえ、音楽やスポーツなどを治療に取り入れていた。

クリフォード・ビアーズは、みずから暴行・脅迫・監禁と罪人のような扱いを受けた体験から、1908年からアメリカで精神衛生運動をはじめ、日本でもそれまでの精神障害者を拘束するという処遇から、障がいをもつ人の人権を保護し、一般社会で生活し一般社会で生活していくことを援助する、という方向に向かい始める今日の精神保健運動の考え方の基盤となっている。

わが国でも、精神障害者は座敷牢に押し込められるなどの扱いを受けてきたが、1950年に従来の精神病院法及び精神病者監護法を統合して「精神衛生法」が制定された。精神障害者などの医療と保護を行い、その発生の予防を目的とする法律であり、1987年に改正されたのが、精神保健法である。

だが、かつて障がい者を対象にした法律の中で精神障害者が除外されていたように、心の病を持つものは他の障がい者に比べて、著しい差別を受けてきた歴史があり、現在もまた精神障害を持つ多くの人が地域で生活していくうえで多くの困難にぶつかるのが現実である。

地域生活支援事業をすすめるにあたり、生活支援センターの設立時点で住民の反対にあうなど、住まいの確保の難しさはもちろんのこと、仕事を得るための就職や作業所の経営難など、地域で一定の生活レベルを維持していく困難を理解しなければならない。

以下精神保健対策を述べる

①対策の焦点を、患者個人だけでなく地域社会のすべての人に合わせていくべきと考える。 

②精神障害を一個人一家族の問題としてだけでなく、地域社会全体の問題としてとらえ、精神保健に関する専門家のみならず関連する機関や人が総合的に地域全体でケアしていく必要がある。

③病院収容ではなく、地域社会の中に家庭や職場などの受け皿を整備し、早期の退院を容易に実現できるように支援する必要がある。また退院後はセルフケアの環境を整えることが必要となる。

➃治療の中断を防ぎ、ケアの連続性又は一貫性を保証し援助する。

⑤精神障害者の社会復帰、さらには人間回復をすべての活動の究極目標として、疾病予防、治療を行うだけでなく、現実生活全体をトータルにとらえ地域社会の力で支えていく。

⑥家庭・職場・地域社会に働きかけ、環境を人間的なものにすることを目指し、精神障害者に対する偏見・差別意識などを変革し、正しい精神保健思想の普及を図っていく。

そのためには住民教育や体験学習なども大きな意味を持つ。心の病を持つものとのふれあう時間の積み重ねが確かな理解を生み、地域活動のはじまりといえるだろう。

現代の精神保健の概念は、精神障害を持つ人を地域社会で生活する人ととらえ、地域社会全体で支えていこうというものである。また、そのために社会的・地域的な基盤の形成が重要な課題となる。その意味でも精神保健に関わる人たちの重要性が問われていると言えるだろう。

【引用・参考文献】