精神医学②
【ポイント】
- 病態の種類・身体症状・精神症状・病前性格・誘因・治療や対応策などを総合的に記載する
- 抗うつ薬の種類や特徴まで述べることが出来れば尚良い
レポート文例
抗うつ状態が生ずる原因には社会・心理的要因によるもの、体質的(内因性)素因によるものがある。統合失調症の初期や休止期、アルコール依存症、脳の器質性疾患などでも抑うつ症状を呈する。
国際診断基準は一定の抑うつ症状を示すものをすべてうつ病と呼ぶが発症原因や意味を取り違えないよう注意する必要がある。
身体症状としてはもっとも頻度の高い症状として、①睡眠障害 ②食欲の減退 ③身体のだるさがあり、便秘がち、性欲減退ほか不定愁訴がおこる。身体症状のかめんによって精神症状が隠されるという意味で「仮面うつ病」などと呼ばれたりするが、それは医師が精神症状に気付かなかった場合やうつ病に対する偏見を緩和するために付けた病名であり、そのような特別なうつ病が存在するわけではない。
精神症状としては、①関心・興味の減退 ②意欲・気力の減退 ③知的活動能力の減退など思考抑制が起こり、無力感・劣等感・自責感・自信喪失・不安・焦燥感・易怒傾向・悲哀感・寂寞感などを感じる。重症になるとうつ病の三大妄想である、心気妄想・貧困妄想・罪業妄想が訴えられる。また早期及び回復期には自殺念慮・自殺企図の危険があるので特に注意を払う必要がある。
うつ病の身体・精神症状を通じてみられる特有な変化に、朝悪く夜にかけて回復するという日内変動があげられる。日本では下田光三が、ドイツでは後にテレンバッハがうつ病に関係の深い性格傾向として執着性格とメランコリー型性格を示した。
うつ病とは何らかのストレスがその人の性格や生活状況と関連して神経伝達物質の代謝に影響を及ぼし抑うつ状態を誘発する、体の病気であることを認識しなければならない。
うつ病はもともと周期性の病気である。周期は普通1~数カ月、時には数年間続く。WHOが作成したICD-10(国際疾病分類)においては、抑うつ状態が原則として2週間以上みられるとき、うつ病と診断することをすすめている。
抗うつ薬はふつう1~3週間のうちにうつ病の諸症状を顕著に改善するが、臭気まで短縮することはできないので服薬の終了は慎重を期す必要がある。
気分障害の治療は薬物療法が中心となるが、心理面の支えは薬物療法を成功させる必須条件といえる。診療の最初から最後まで、さらに再発予防のための生活の工夫にも絶えず心理的に援助が求められる。
1980年頃に笠原 嘉医師により提唱された小精神療法は、薬物療法の比重が高くなりがちな治療の中で、外来の時間の中で行える精神療法であり、従来の状態に回復させることを目的に以下の内容に留意の上、行われる。
(1)治療の対象とするのは「不調」であり、「気のゆるみ」や「怠け」ではなく、自分を責める必要はない。(2)早い時期に休息をとるほうが治癒しやすい。(3)治療の間、自殺企図をしないことを約束させる。(4)重大な決断は回復するまで延期する。(5)服薬の重要性、副作用を理解する。(6)むやみな励ましは自責感を強めるため禁句とする。などを本人、家族、必要ならば会社や友人などに理解を求めることが大切になる。