援助過程におけるケアマネジメントの意義

精神保健福祉援助演習
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精神保健福祉援助演習

「ポイント」

  • 厚労省のケアガイドラインの趣旨に沿ってレポート展開できる
  • ケアマネジメントの基本理念を理解する
  • クライエントの参加を中心に述べることができる

   (※演習のため、事例等に基づいた内容が求められると思いますが、
     勘案の上あくまで参考に)

レポート文例

障がい者の援助過程において、複合的なニーズを満たすためのサービスを的確に提供していくためにケアマネジメントがある。

「ケアマネジメントを希望する者の意向を踏まえて、福祉・保健・医療・教育・就労などの幅広いニーズと、様々な地域の社会資源の間に立って、複数のサービスを適切に結び付けて調整を図るともに、総合的かつ継続的なサービスの供給を確保し、さらには社会資源の改善及び開発を推進する援助方法である」と厚労省のガイドラインにも記されている。

障がい者が障害種別にかかわりなく、身近な相談窓口で福祉サービスなどについて情報を入手し相談できる体制を整え、障がい者が本人の意向に基づく地域生活を実現するために、ケア計画を作成し実施する障がい者ケママネジメントが必要であるが、福祉サービス利用にあたっては利用者の主体性・選択制が尊重されることが不可欠となる。

もっとも大切なことは、利用者の地域生活を総合的に支援するものであり、利用者の意向や要望にもとづいてケア計画が作成されなければならないことである。
既存のサービスから出発するのではなく、利用者が望んでいる生活を具体的にともに描き、その達成を支援するものでなくてはならない。

障がい者の生活ニーズに対応した社会資源は地域に広く散在しているが、障がい者の自己実現や主体的な生き方を支えるために各個人に必要なものを選択し、利用者のエンパワメントにつながるように既存の社会資源に改善を働きかける場合もある。
具体的には各機関で提供しているサービスを十分に把握し、そのうえで利用者のニーズに応じたサービスが地域にない時や不足する場合には、サービスの対象領域を超えてサービス利用のための調整を図るほか、新たなサービスの確保のために行政や民間の協力を得て社会資源を開発するなどの能動的な支援を行うなど、地域のネットワーク作りに貢献することが求められる。

その際、利用者の権利擁護の観点からケアマネジメント従事者は、公正・中立を確保しなければならない。サービス提供者とケアマネジメント従事者が同一組織に所属する場合などは特に留意し、サービス提供者に利益を誘導することがないように心がけなければならない。

障がい者ケアマネジメントは以下のように5つの基本理念に基づいて行われる。

1.「ノーマライゼーションの実現に向けた支援」により、誰もが住み慣れた地域で普通の生活を送り活動できる社会を構築するために、地域住民が積極的に障がい者を支える仕組みを作ることを重要とする。

2.「自立と社会参加の支援」一人ひとりが責任ある個人として主体的に生きることをめざし、社会経済活動への積極的な参画を支援する。

3.「主体性、自己決定の尊重・支援」一人ひとりの考え、生活様式を尊重しながら自分の能力を最大限発揮できるように支援していく。すべての過程において利用者の積極的な関りを求め利用者と情報を共有し、利用者及び家族などが選択し自己決定に基づき実施することが重要となる。

4.「地域における生活の個別支援」一律のサービスではなく、一人ひとりの利用者の生活を把握し、課題や困難を見極めていく。利用者の取り巻く人間関係や地域や社会資源のかかわりの中で個別対応の支援を行い、質の高い生活の継続を目指していかなければならない。

5.「エンパワメントの視点による支援」障がいケアマネジメントは、利用者が自己の課題を解決するにあたり、常に自分が主体であることを自覚し、自信をもって課題に臨むことができるよう、利用者の力を高めていくエンパワメントの視点で支援していくことが重要である。

障がい者ケアマネジメントは、アセスメント・モニタリングを繰り返す過程において、クライエントが参加し目標や課題を共有し、積極的にケア計画に関与することによってクライエントはエンパワリングされていくのである。
障がい者ケアマネジメントは「クライエントの参加」が重要な要素となり、精神障害者自身が生活を管理する能力を強化し蓄え、主体的に様々な資源を獲得していくことができるようになることを目的としている。
そのために障がい者ケアマネジメント従事者は、利用者と十分なコミュニケーションを構築し信頼関係を樹立する専門的援助技術を要し、取り巻く環境やその人の持つ強さに焦点を当ててアセスメントを行うことが不可欠である。

障がい者ケアマネジメントはその時々のクライエントの心身の状況に即した本人の利益になるものでなくてはならない。
同時に生活課題も変動していくことに留意し、そのための目標設定を見逃さないためにケアマネジメントの一連の援助過程は大きな意義を持つものである。

【引用・参考文献】