レポートの書き方

「ポイント」

  • よく自分で理解したうえで書く
  • わからないことは詳細に調べる
  • 調べる時間を費やしたほうが書く時間がはるかに少なくてすむ

友人など、親しい人にあてて書くつもりで書きましょう

課題についてよく理解できていない人が、だれに向けて書くのか漠然としたままで文章を書いてはいけません。おそらく、書いている本人も読んでいる人も意味不明か、内容の薄っぺらなものになってしまいます。

例えば、登山を紹介する場合に「この道からはこう行けて〇〇分。途中〇〇に注意」などでは一般論のみとなり、説得力に欠けます。

何度も登った人が書くとどうなるでしょうか。
雨が降ったら、寒かったらなど経験をもとにあらゆるケースを考慮して、具体的に記載するでしょう。健脚者はこちら、初心者はこちらのコースがおすすめ。天候を考えて〇〇や〇〇を用意しよう。〇〇の際は気をつけましょう、またどのように注意をするかなど、具体的な指導があるほうに価値を感じるものです。

経験などから自分で確信の持てる内容を述べましょう。経験がない場合には、根拠を十分に調べる必要があります。
そのさい、自分の親しい人を頭に描き、その人に伝えるつもりで書き進めると、骨子がぶれずにわかりやすいものが出来るものです。

明確に調べることに時間をかけましょう

具体例を示して、抽象的な表現をしないことを心がけましょう。
例:〇〇を見なおし、新たな方法をとるべきである ➡ 具体的には〇〇をすべきと考える。その根拠は〇〇だからである。

伝えたいことがない、書き手自身の意見がないままで論じていないか・わかりやすく正確に伝えられているか・論旨を支えるものが漠然としていないか・内容は一貫しているか・知識不足や経験不足が露見していないか、などにはしっかりと意識して十分な注意を払っていきましょう。

小論文も卒論もレポートも組み立ては同じです。いわゆる論文を書くことで構えないようにしましょう。まず自分の理解を深めるための時間を惜しんではいけません。十分に咀嚼できたかどうかは、後日教師から内容について質問を受けることがあった時に、明確に答えられるかどうかが一つの判断になるでしょう。
冗漫で何を書いたかわからない文章にならないように、結論を先に書いた後に根拠を述べて、話を展開させていくのが論文の基本形といえます。
レポートは報告型の形をとりますが、論証型の場合は主題あるいは結論と、それを構成する意見と事実が述べられなければなりません。

ここらで気分転換はいかが?
24年間電通のライターを経験した文章のプロが書いた『読みたいことを、書けばよい』という田中泰延氏の本があります。この方はライターを生業とする方ですが、さすが文章のプロ。ライターの技術が要点を突いており参考になる部分が多くあります。
文章に対する見方が広がり、書くことの億劫さや気負いが取れるに違いありません。
レポートをまとめようとしているみなさんには直接関係はないかもしれませんが、気持ちや時間に余裕のある方は、頭やすめにぜひおすすめです。肩の力が抜けて気分爽快になること間違いなしです。

書き進め方

まず、紹介文(概要)➡本文(展開)➡結論(まとめ)と見出しをつけて順番に進めていくのが順当なやりかたです。紹介文では、何について書かれているのか、何を言いたいのか、それを支えるものは何か、の順で簡単にかつ本文に読み進めたくなるような内容で書くと良いでしょう。

展開では、紹介文を詳しく説明する形をとり、持論を十分述べていきます。その際、話が他のところに飛んでいかないように気をつけます。

結論では、それまでの要約を書いていきます。要するに何をいいたいのか、を詳細に述べるのですが、注意しなければならないのは、それまでに書かれていない内容や概念をいきなり登場させることをしてはいけません。

しかし、本文から自由に書き始める方法も意外にのびのび書けるものです。
充分に資料を調べ、書きたいことがまとまりなくいっぱいある中で、それを吐き出す如くひたすら書いていく方法です。
考えたこと、調べたことを書きたいだけ網羅し満足するだけ書いたのちに、消去法で整理整頓に入るのです。推敲作業と構成の組み立て作業に没頭します。
その際、上記を念頭に置き、文章の一貫性をそこなわないようにして作業にかかると、導入の紹介文もまとめの構成も、全体像が見通せて無駄なものや内容の割愛がしやすくなります。

なにより、自由に書く作業に没頭することで、文章化する充実感を味わうこともでき、案外作業がはかどるものです。

論文もレポートもいわゆる論説文ではありません。一般向けの論説文は、関心のない人を読者として想定し関心を集めることが目的で、一般的な知識とあたり障りない結論で成り立っているものですが、論文はそうではなく、すでに関心のある人や専門の人たちを対象に、その人たちが納得するものを書く必要があるのです。

2000字以内のレポートの場合は、紹介と結論はひとつずつにしたほうが良いでしょう。展開も一つからふたつくらいが明確な内容となり適当だと思われます。

相手を納得させる書き方

主張を意見で支え、その意見を支える根拠、具体的なものを書いていきますが、さてこのでだしの文言自体がすでに「漠然としすぎてわからない」と突っ込まれそうですね。
後述で記載する決まり事を踏襲すれば簡単に進めることが出来ますのでご安心くださいね。

自分の体験談はとても有効ですが「その体験を書くことで何を述べようとしているのか」を忘れないようにしましょう。そうしないとアレコレ書きすぎて失敗してしまいます。
また、体験を詳細に書いた後でいきなり結論に飛ぶのは間違いです。
その体験が何を意味しているかを明言し、その文章の論旨性を保つ必要があります。

文章は、書く練習が必須です。日ごろ文章を書かない人が、いきなり論文めいたものを書くのは無謀ともいえます。また文章に慣れていない場合はなるべく「である」調を使わないほうが無難かもしれません。なぜならこの書き方は、それだけで立派な内容を書いたような錯覚を覚えやすいからです。普通の話し言葉で、友人に読んでもらうつもりで、思ったことを自由に書いて練習しましょう。

論文やレポートもそんなつもりで書いたのちに、フォーマルなものに書き換えたなら、内容が伝わる分かりやすい文章になるはずです。

また、気持ちを主張すると自己中心的な内容になるので注意が必要です。
〇〇は間違いだった。だから〇〇・・・
〇〇が間違いだったと、なぜ思ったかの根拠が抜けています。自分の気持ちを表現しただけのものにならないよう気をつけましょう。

表現上で注意すること

高圧的、威圧的な表現にならないように気をつけましょう。
もしかして、大げさで硬い表現が良いと思ってはいないでしょうか。
論文に必要な力は、語調や言葉の与える強さではなく「説得力」です。

よく見かけるのですが、主張部分は疑問形にしてはなりません。そうすると「論文」ではなくなってしまいます。主張は明確に素直に表現しましょう。

また、もったいをつけた書き方も好ましくありません。肝心なことは冒頭に書きましょう。
何が言いたいのかわからないまま引っ張ると、読み手は離れてしまいます。
細部から書き始める人のなかには、自分が書こうとしている文章の全貌が見えていない場合が多くあるようです。
読み手は細部には興味はありません。知りたいのは主旨(答え)にあります。その答えにより、主旨を支える細部への興味に移るのです。

誇りをもって文章を書きましょう

資料を調べるうえで、いちばん注意を要するのが、まる写し・無断借用(転用)です。
出典を明記せずに自分の考えのように記載する剽窃(ひょうせつ)にはとくに留意が必要でしょう。自分で書いたものでも、二度おなじ内容を提出すると自己剽窃になることを知っておく必要があります。
ネットを利用して調べやすいということは教師もまた、簡単に出典元を探し出せるということなのです。
ここでポイント
引用した場合も完全に内容を理解して、自分なりの言葉に咀嚼して書き直し、質問を受けても答えられるのなら問題はないと思われますが。
そうでなければ、きちんと出典元及びサイト名を記載しておけば良いのです。つまり、論文とは(レポートも同じ)客観的であり、第三者にチェックが可能でなくてはならないものです。
ただし、ネット引用の場合はより注意深く、サイトだけでなく、その根拠になっている公式の引用元・原典を調べ記載することが望ましいでしょう。

文才はなくとも大丈夫

論文やレポートのたぐいはオリジナルの創作とは違います。自分が学んだもの及び黙々と調べたものを淡々と記載するものです。特別な文才も能力も要りません。
読み手を喜ばせる必要も魅力的に書く必要もないのです。
どうです? 簡単に思えてきたでしょう?
論文は報告型と論証型がありますが、レポートは報告型になります。

また、大きな課題から論文を書くことは、膨大な内容で困難が大きくなります。その場合はまず、その課題の中から小さな問いを幾つも取り出してみましょう。その中から自分に書けそうなものを書けばよいのです。絞り込むことで各作業は、はるかに容易になってきます。

例を挙げると「福祉政策の発展過程について」との課題が出たとしましょう。漠然と大きな課題ですね、そこでその中から小項目をたくさん考えてみるのです。
たとえば「戦後改革の中で福祉がどう発展したか」「高度成長期の福祉政策」「少子高齢化時代の福祉政策」「雇用の福祉政策」「福祉は住宅問題をどう発展させたか」などなど。それでも書きにくければ、本題から外れないかぎりもっと小さく入っていけば良いのです。

構成要素のきまりに従うと楽に書ける

ここはひとつ、明確なまとめをするとしましょう。

決まりの構成要素とは①タイトル ②概要 ③本体 ④まとめ ⑤注、引用・参考文献一覧 です。

どうせなら自分で満足のいくレポートを書き上げたいですね。
では、早速取り組んでみてください。

その前にパソコン環境を整えておくことをおすすめします。


< 以下、引用・参考文献 >
 「論理的な作文・小論文を書く方法」小野田博一氏著 日本実業出版社
 「新版 論文の教室 レポートから卒論まで」戸田山和久氏著 NHK出版