地域リハビリテーションについて

精神科リハビリテーション学
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精神科リハビリテーション学

「ポイント」

  • 地域リハビリテーションの定義をおさえる
  • 地域リハビリテーションの具体的な活動を理解する
  • 地域リハビリテーションの今後の課題を考察する
  • ノーマライゼーションの理念を基に社会資源を利用しながら生活の質を高めることに焦点

レポート文例

地域リハビリテーションとは、障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れた場所で、その人らしい生活を可能にするために、保健 ・医療・福祉・介護及び日常生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう活動のすべてを言う、と定義されており、「その人らしい生活の再獲得と再構築」を目的とするものである。

ただし、精神保健福祉分野の地域リハビリテーションにおいては、従来の高齢者や障がい者の概念が機能しない場合が多くあることを認識する必要がある。

それは、特質としての疾患と障がいの併存という事情にもよるが、あまりに入院中心主義に傾斜してきたこれまでの日本の仕組みが影響したものに他ならない。これまでの既成概念が自立した生活を支援するというシステム形成になかなか馴染めなかったことと、これまで精神病院が機能するために福祉や社会資源とむずびつく必要がなかったからといえるだろう。

現在、「医学モデル」から「統合的生活モデル」中心に、地域生活支援が目標とされる情勢の中で、精神病院の設置場所さえコミュニティ内部への必要性が問われるようになり、地域連携が促進されることとなった。

地域リハビリテーションの今後の課題としては、地域を基盤とした総合的な支援力を形成する新たな調整・協議・組織化の方法がある ①ニーズの多様化に対応するサービスの効率化 ②慢性疾患のケアに対応するサービスの継続性の確保 ③サービスの供給側の多様化に伴う調整・連携機能 ➃サービス資源の充実を図る組織化 ⑤一方的なサービス提供にしないためのフィードバック機能など、精神障害者の地域自立生活を後押しする地域ネットワークを背景に展開されていかなければならない。

その実践的な理解は、単に連絡を取り合い情報を交換し合うだけにとどまらず、精神障害者を含む関係者みんなが相互に意思疎通を図り、力を合わせて具体的な目標や目的などの課題に取り組む状況を、地域ごとに形成していかなければならない。

理念目標を実現可能な目標に変えていくことためには、①目的意識を持つ ②限界を認識する ③現場から作る ➃トップへ働きかける ⑤共通のテーブルにつく などの基礎基盤作りが求められる。

具体的には当事者たちで作る ①インフォーマルなもの ②市民参加型のもの ③社会機関のフォーマルネットワークがある。 ①においてはクライエントレベルに留まることなく、組織化や専門家の形成が必要とされるものであり ②についてはノーマライゼーションの立場に立った、市民レベルの地域ネットワークとして最も注目されるものであり ③においては即応性や臨機応変さがもっとも求められるだろう。

病院や施設も社会資源の一つであり、病院で行われる精神科リハビリテーションでは、主治医をはじめ、看護師や作業療法士、精神保健福祉士等数多くのコメディカルスタッフでリハビリテーションという治療体系を構築している。つまり、精神疾患のかたに対して、多職種がかかわり、その専門性を活かしつつ、心身機能の維持・回復、対象者の能力を最大限活かした生活の再獲得・再構築を目指していくのである。

【引用・参考文献】