心理療法を四つに分類しそれぞれの療法について述べる

心理学
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心理学

ポイント

  • 心理療法のうち原点ともいえる精神分析は出題頻度も高いため概念をしっかり把握する
  • 三大心理療法のみでなく家族療法についても表記する
  • 治療者の三原則について触れ、明確にする

レポート文例

心理療法を四つに分類し、以下それぞれの療法について述べる

(1)精神分析療法:無意識的なもの(トラウマ)を意識化することにより、自我を強化し、症状を除去する方法である。治療者は直面化や明確化により、クライエントを侵略している意識と相手を尊重する意識をもって行われなければならない。患者はリビドー(衝動エネルギーととらえる。リビドーに関しては深淵なため割愛する)が抑圧されていて、その暴走を防ぐためにエネルギーを沢山消費しており、それによって仕事も生活も楽しむことが出来ずにいる状態であるものとし、自我がリビドーを自由にコントロールできるようになれば健康になれると考える方法である。療法の過程では、患者に対し洞察(自己理解)と解釈を繰り返し、徹底操作(ワークスルー)を行うため、必ずラポール(信頼関係)の取れた中で行われなければならない。

治療作業は二段階をとり、第一段階でリビドーは全て感情転移のなかへ押しやられ、そこに集結させられる。第二の段階でこの新しい対象をめぐる戦いが行われ、リビドーはその対象から離れ自由にされることになる。夢も錯誤行為や自由連想と同じく治療に役立つ。それは症状の意味を推測し、リビドーの処分を明らかにするからである。(ここでは、リビドーを衝動エネルギーととらえる)

(2行動療法:ものの受け取り方や考え方のバランスをとってストレスに上手に対応できる心の状態を作っていく学習理論に基づく療法であり、うつ病や不安障害、不眠症、摂食障害、統合失調症などの多くの精神疾患に効果が実証されている。

特徴としては、個人の内面を問題にするのでなく、問題となる行動や思考をいかにして変化させるかに焦点が当てられる。まず、どのような刺激によって問題行動が起こっているのか、それによってどのような結果が生み出されているかを分析していくものである。

技法としては、

①ウォルピが提唱した、恐怖症や不安障害に適応される全身弛緩の方法をとる系統的脱感作法

②患者が不安を感じる場面に直面させるフラッディング法(暴露、反応妨害法)

③望ましい行動を強化し行動変容を目指すための、オペラント条件付けを利用したシェイピング法や、幼児や障がい児童を対象とした、目的達成ごとに対価を与えるトークンエコノミー法など

➃アルコール患者などに適用される電気刺激などによる嫌悪療法。この方法は即効性がある代りに苦痛やトラウマを与える治療法であるため、倫理的な問題に十分配慮し、高度な専門知識と慎重な対応が必要となる

⑤モデリングやロールプレイをして、望ましい行動を獲得させる社会的スキル訓練法(SST)

などが代表的である。

(3)クライエント中心療法:カール・ロジャースが考察した方法で、「非指示的療法」近年では「パーソンセンタード・アプローチ」とも呼ばれ「人間は成長・自立・独立などの実現傾向を持つもの」という考え方に基づいている。

治療者は助言することでクライエントの訴えを否定してしまったり、治療者に依存してしまうなどの危険性を排除するために、治療者の3原則(基本姿勢)に従い、クライエントに無条件の肯定的な配慮を持ち、共感的に理解することを大事にすることで、クライエントが自分の感情を訴えることを重要視する。その結果、助言なしでクライエントが自分で問題解決法を導き出す自己一致を実現することを目的とする。

この方法は非常に癒し効果の高いすぐれたものであるが時間がかかることを考慮に入れじっくり取り組むことが大切である。

(4)家族療法:治療者が家族の中に介入する一面を持つ点で、精神分析療法に代表されるような従来の個人療法とは性質がやや異なる。個人療法と併用される場合もあり患者の問題のすべてに適用するわけではないが、不登校・思春期摂食障害・非行・児童虐待・アルコール依存症・夫婦間のトラブルなどは家族療法が適用される問題である。

通常の心理療法では家族はクライエントの治療を見守るサポート役であるが、家族から問題が現れたと判断された場合には、相談者を取り巻く家族関係や、家族全体を対象とした心理療法である家族療法を用い相談者と家族の問題解決をはかっていく。

家族を一つの集合体(システム)とみなし、そのシステム全体を問題の対象として、包括的な手段によって、問題解決をめざしていくシステムズ・アプローチが家族療法の特徴のひとつとされる。

【引用・参考文献】