社会福祉の専門性を構成する要素やその機能と課題について

社会福祉原論
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社会福祉原論

「ポイント」

  • ソーシャルワーカーの専門性について理解する
  • ケースワークの専門性に取りくんだ歴史の経緯を理解する
  • ソーシャルワーク3機能について理解する

レポート文例

ソーシャルワークがこれまでの課題の原因はその個人にあると捉える「医学モデル」から課題はその人を取り巻く環境を含めたシステム全体のあるというシステム理論をベースにした「生活モデル」へ移行していった1950年代に、「ソーシャルワークは専門職である」根拠としてグリーンウッドは

①組織的あるいは体系的な専門的理論をもっている。

②専門職としての権威がある。

③地域社会によって承認されている。

➃専門職員とクライエント及び同僚との関係を規制する倫理要綱がある。

⑤専門て4期分野がある

と述べている。

ここでは、専門性の要素について〈価値・倫理〉〈専門的知識〉〈専門的技術〉という点から検討していきたい。

まず、人間観・価値観の前提となる重要な要素として、ゾフィア・T・ブトゥリムは「人間尊重」「人間の社会性」「変化の可能性」の三つの概念をあげ、これらの価値はソーシャルワーカーの公的な価値とは言えないが、不可欠の価値であると述べている。

また、「人間らしい生活をいとなめること」「個人が大切にされること」「誰もが地域で暮らせること」「社会的に平等に扱われること」「自己実現できること」を終着目的とするものである。

次に専門職として業務の上で必要とされる知識としては

①利用者とその問題を理解するための知識

②利用者を援助するための技術についての知識

③社会的サービスについての知識

➃自分の業務体験から抽出した知識(自らの業務と技能を振り返ることであり、その集積が専門性を高める要素となる)

さらに技能は専門性を区別するうえで最も際立つところといえる。
バイステックの援助7原則であるところの
①個別化  ②意図的な感情表出 ③統制された情緒的関与 ➃受容 ⑤非審判的態度 ⑥クライエントの自己決定 ⑦秘密保持 を基盤にいつも個人援助技術、集団援助技術、地域援助技術の視点で何が一番必要な援助であるを見極め、適切に援助の方法を使い分けることが大切となる。

以上のように、社会福祉の専門性は人間尊重と自己決定を中心的価値に据えて、利用者が決定する機会を増やすように機能していくべきである。つまりはソーシャルワーカーと共に環境に働きかけることで自らを変えていくクライエントという視点を持って、利用者と共に働き、直接環境に働きかけたり利用者に働きかけていかなければならない。

また、利用者を援助するだけでなく、利用者が身をもって示す現実から学び、社会資源や社会制度の改善を図るものであり、個人のケア計画と同時に集団や地域の計画を策定し実行するという機能を持つものである。

専門性に付随する今後の課題としては、対人援助の専門職と利用者の間に生じる力の不均衡や、サービス提供をめぐる権限などが非対称性を生み、援助関係に影響を与える可能性に注意を払う必要がある。

そして権利擁護の概念に基づいて、制度の狭間の問題や表出されていないニーズを把握し、社会資源やサービスを開発する体制に向け、相談を受けた事業所などが役割を果たすなど、個人の援助を社会制度の向上につないでいくように、常に社会背景を意識した行動を行うことが求められている。

また、措置制度から民間サービスに移行する社会福祉の中で、望まれる専門性を持ちうるかも大きな課題であろう。そのために知識を自分の技能に変え、スーパービジョンなどの訓練の場の中で常に身近な課題に置き換えて自己を高めていく姿勢が今後のソーシャルワーカーの専門性の向上につながるといえるのではないだろうか。

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【引用・参考文献】